大学全入時代を控えて

6年一貫でいいことばかり?

中央教育審議会は2005年7月、

「大学全入時代」が従来の予想より2年早く、2007年度に到来する」 と発表した。

少子化と大学志願率の頭打ちで 大学・短大の進学希望者数と大学の合格者総数が2007年度に同じになると試算している。

その予測に先立ち、2006年春、4年制私立大学のうち40%の大学で定員割れが起こり、短大では半分以上の大学で定員割れが起こっている。

産経新聞 06/7/25

私大定員割れ40% 今春 地域・規模 進む二極化 

今春の入試で、入学者が定員に満たなかった4年制私立大学の割合が前年度の29・5%から40・4%に急増し、過去最高となったことが、日本私立学校 振興・共済事業団の調べで分かった。

542校中160校(29.5%)が定員割れした前年度から62校も増加した。

定員割れ率は99年度に10%を突破。00年度から30%前後をたどり、今年 度初めて4割を超えた。

また、定員の5割にも満たない学校は前年度から3校増えて20校(3.6%) となった。   しかし、入学定員3000人以上のマンモス大学(23校)だけを見ると、志願 倍率は10倍を超え、志願者数も約5万人増加。全体の約4%のマンモス大で志 願者全体の約45%を占めている状況だ。

学生数の規模や地域における人気の格差は拡大。中規模以下の大学の定員充足率 が大幅に悪化する半面、大規模大学はあまり変動がなかった。

定員割れが常態化している大学と志願倍率が10倍を越える大学。 全体の4%のマンモス大学が志願者全体の45%を占める状況。

まさに今の世の中で言われる「富める者とそうでない者」という二極化、わかりやすく言えば、「勝ち組と負け組」が大学の志願状況にも表れているといえそうです。

のちの詳しく掲載していきますが、2006年高校別東大合格者数の20位までのうち、公立高校は3校、国立が3校、私立は17校という結果が出ました。東大のみならず、難関大学への合格者は私立の中高一貫校の一人勝ち状態。

これが公立の中高一貫校が全国でものすごい勢いで設立されている今を取り巻く風景である。

「大学全入時代」と「中高一貫」ブーム。私立中高一貫校の難関校独占。

今の子供たちには、どんな未来が待ち受けているのか。

雨後の竹の子のごとく設立される「公立中高一貫校」を軸にこれから一緒に考えていきましょう。

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中高一貫教育、生徒間の学力差に苦慮

6年一貫でいいことばかり?

6年間の中高一貫教育を行っている私立学校と公立学校の7割が生徒間の学力差に苦慮していることが文部科学省のアンケート調査で分かった。

高校入試にあたる選抜試験がない公立校ほど、学力差を課題と感じている割合が高い。
文科省は「高校入試がないため、個々の生徒の学力を一定に保つのが難しいのではないか」と分析している。

調査は2010年3月、中高一貫教育を導入した全国の国公私立学校370校と自治体を対象に実施。366校が回答した。いずれも複数回答。

中高一貫教育を実施する際の課題
◆「生徒間の学力差」が課題 
公立が74%、私立が77%、国立は40%

公立中高一貫校のうち、学力差を課題としたのは、
6年間を1つの学校で教える「中等教育学校」で92%
中高が別組織で高校入試がない「併設型」で87%
高校進学時に簡易な試験を課す「連携型」は56%だった。

◆高校入試がないか簡便な入試のため、学習意欲の向上で課題
公立で69%、私立で50%、国立で40%

◆生徒の人間関係の固定化が課題
公立で28%、私立で27%、国立は20%

中高一貫教育導入の成果
◆学力の定着・向上が成果
公立の62%、私立の84%、国立の40%

高校で学ぶ内容を中学段階で取り入れるなど柔軟なカリキュラム編成ができ学力の向上に効果がある半面、授業の進度についていけない生徒への対応に苦慮する学校も多い様子が浮かぶ。

◆教育活動全体にゆとりが生まれるのが成果
公立で21%、私立は54%、国立は40%

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中高一貫校の今後の課題

6年一貫でいいことばかり?

文部科学省の報告

中高一貫教育の推進について~500校の設置に向けて~

この報告の中で、文科省は、「今後の課題」を取り上げています。

課題として、文科省は、

中高一貫教育については、平成9年6月の中央教育審議会の答申において、
制度の適切な運用が図られない場合には、

◆受験競争の低年齢化につながるおそれがあること
◆受験準備に偏した教育が行われるおそれがあること
◆小学校の卒業段階での進路選択は困難なこと
◆心身発達の差異の大きい生徒を対象とするため学校運営に困難が生じる場合があること
◆生徒集団が長期間同一メンバーで固定されることにより学習環境になじめない生徒が生じるおそれがあること

といった課題が指摘されたが、これらについては、既設校において様々な工夫が
図られており、むしろこのような工夫そのものが中高一貫教育を行う学校としての
特色となっている(【資料19】参照)。

このことから見る限り、今後、新たに設置される学校においても、学校における工
夫や国、都道府県・市町村等の支援など関係者の様々な取組により、十分解決
されていく課題であると考える。

と述べています。

「学校における工夫や国、都道府県・市町村等の支援など関係者の様々な取組
により、十分解決されていく課題」とは、いかにも楽観的と思うのは、私だけでしょうか?

では、それら楽観できる取り組みとして示されているのは、

◆受験競争の低年齢化につながるおそれがあること
 →選考で学力検査を行わず、調査書、面接、適性検査、作文などを行う
 →抽選の導入
 →調査書に学習記録を盛り込まない
 など

◆受験準備に偏した教育が行われるおそれがあること
 →体験学習、地域学習、自然巡検の重視
 →郷土学習の重視
 など

◆小学校の卒業段階での進路選択は困難なこと
 →児童、保護者を対象にした説明会の実 施
 →進路変更への柔軟な対応
 など

◆心身発達の差異の大きい生徒を対象とするため学校運営に困難が生じる場合があること
 →寮生活の導入
 →中高合同での入学式、体育祭、文化祭の実施
 →中高の教員の相互交流
 →生徒会行事、部活の中高合同での実施
 など

◆生徒集団が長期間同一メンバーで固定されることにより学習環境になじめない生徒が生じるおそれがあること
 →選択教科・科目の導入
 →高校からの入学者の受け入れ
 など

※資料19参照 

まったく問題がない学校というのはありえません。

問題というよりは短所と言ったほうがいいと思いますが、それぞれの学校が長所と
短所をハッキリさせるということが今求められていると思うんですね。

そういう意味で、文部科学省の見解というのは、非常に違和感があります。

理想的な総花的な考えのモトに全国に学校を作れば、結局は公立の学校と変わり
映えのしない学校ができてしまう。そんな気がします。

それぞれの学校が枠組みはあるにせよ、多少の短所は気にせずに、独自の特色な
り、長所を前面に押し立てた学校になってほしいと切に願います。

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3、すべての学校が中高一貫校になってしまうの?

6年一貫でいいことばかり?

公立の中高一貫校は、「選択肢を増やす」という教育の多様化への対応として設置されることはすでに述べました。

また、それ以外にも、

「6年間を通じた異年齢の生徒が学校生活を送り、6年間の計画的・継続的な教育指導を行う仕組みを整え、より生徒の個性を伸ばす教育を展開し得るようにすることも今回の中高一貫教育導入の理由」

と文部科学省は述べています。

そこで当然考えられるのは、6年間を通じて教育指導を行うメリットだけでなく、一方で、生徒集団が長期間同じメンバーで固定されることから、学習環境になじめない生徒が生じるおそれがあるなどのデメリットもあるということ。

また、従来の中学校・高等学校において、学校生活を送りたいと考えている子供もいると考えられることから、国としても、


全ての学校を画一的に中高一貫教育校にするつもりはないようです。

従来の中学校・高等学校の制度を選択するか、中高一貫教育を選択するか、それは自分たちで考えなさいというのが国の立場というわけです。

公立中高一貫校は、その選択肢を増やすために設置されたわけですから、これを機会に進路について、子供と親がメリットデメリットを検討し、最終的には自らの責任において選択をしていかなければならないでしょう。

ただ、検討するにしても、検討する材料が与えられていないというのも事実です。

ですから、どうしても今語られる、検討される材料は、私立の中高一貫校がイメージとして浮かび、そこからの想像という形をとるようになっています。

が、公立中高一貫校は、そもそも私立の中高一貫校とは、設置趣旨、学校の目指す目標も、授業形態、かかる費用もすべて違います。

単純に費用を比べても、10倍以上は違うでしょう。そして、その費用の違いはどこに表れてくるのか?

というのは、注意してみていく必要があると思うのです。

公立中高一貫校を目指す保護者は、私立の中高一貫校との比較と同時に、公立中高一貫校の設立趣旨、目指す目標、実施の形態なども綿密に調査し、本当に我が子の進路としてふさわしいと思えるときのみに進路選択をすべきだと思います。

では、次に公立中高一貫校の実施形態についてみていきましょう。

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